赤穂市フィールドワーク

2022.9.5~6


華金は赤穂で仕事の疲れを癒しませんか?

近藤 帆海

 

8/5から8/6にかけて兵庫県赤穂市を訪れ、観光について考えるフィールドワークを行った。このレポートでは、タイトルに込めた思考を述べると共に、体験を踏まえて感じる具体的な観光戦略を、私自身の目線から記していきたい。まず、上記のタイトルを設定した経緯であるが、メンバー内でのディスカッションで、観光地の活性化には、観光客数だけでなく「消費額」の視点からも考える必要があることを学んだ。日帰り客よりも宿泊客の方が消費額が多いことから、最初に観光地が増やすべきは「宿泊客」なのである。加えて、赤穂市には播磨灘に面した高台に位置する「赤穂温泉」という観光資源が存在する。これは、ロケーションの良さと優れた泉質から、別名「よみがえりの湯」とも呼ばれるものであり、金曜日の仕事の疲れをグッと癒してくれると共に、宿泊産業の活性化にも繋がると考えた。よって、お仕事を終えたそのままの足で赤穂市を訪れ、温泉と美味しいお料理で1週間の疲れを癒し、次の日は魅力溢れる赤穂市を楽しんで頂きたいという思いから「華金は赤穂で仕事の疲れを癒しませんか?」とのタイトルを付ける形となった。以下では、若い世代をメインターゲットとした観光戦略について、私自身の意見を率直に記していきたい。

 

 

●塩づくり体験を受けて

 

今回、フィールドワーク内のプログラムの1つとして、「塩をづくり体験」をさせて頂いた。赤穂市といえば塩のまちと呼ばれるほど塩づくりの歴史は古く、令和元年には「『日本第一』の塩を産したまち播州赤穂」として日本遺産にも認定された。しかしながら、赤穂市職員の方からも「塩」に依存した観光振興は成功しているとは言えないとお聞きしており、私自身も塩づくり体験を行なった段階では、若者の集客には難しい観光資源なのではないかと感じていた。ただ、その後の夕食の際に、自身で作った塩を使用しておにぎりを作らせて頂いたことで、塩をかけるだけでこんなにも美味しさが倍増するのかと、塩の魅力を再認識することとなった。つまり、赤穂の塩をより楽しんで頂くには、塩づくり体験のプログラムと共に、塩を使用したグルメの提供を行うことが重要である。塩の良さを存分に味わえる塩おにぎりはもちろんのこと、赤穂の塩を使用したジェラートやプリン等のスイーツも若者には好まれやすいのではないだろうか。

 

 

 

●街並み散策を受けて

 

フィールドワーク内で赤穂市の街中を散策する機会が何度かあった。赤穂市職員の方からは、事前に「海エリア」をコアバリューに設定するというお話をお聞きしていたのだが、SNSの投稿件数等も踏まえ、「きらきら坂」のある御崎エリアや海浜公園は若者間での人気が高まってきているように感じる。しかしながら、坂越エリアはというと、まだまだ認知度が低く、訪れる観光客数も少ないのが現状だ。今回実際に坂越エリアにも訪れてみて、風情ある雰囲気の街並みや、点在するお洒落なカフェ等は、もっと若者間の人気が高まっても良いように感じた。同時に、この坂越エリアが「古都」の街並みと「海」の景観を同時に味わえる場所であることは、ブランディングに向けた課題の一つである、観光価値の差別化に対しても、大きな手がかりになると考えられる。若者や外国人観光客の集客に焦点を当て、情趣ある街並みにちなんだ着物のレンタルサービスを行うのはいかがだろうか。また、点在するお洒落なカフェや街並みを、海風に当たりながら楽しんで頂ける、レンタサイクルの供給を増やすのはいかがだろうか。訪れた人々に非日常を感じて頂ける良いコンテンツになると考えられる。

 

 

終わりに

 

2日間のフィールドワークを通して、赤穂市は既に数多くの観光資源を保有しており、魅力溢れる場所であると感じた。ただ、来訪者属性の現状から、20代、30代の割合が少ないのは顕著であり、私自身の感覚から述べるとするのならば、若い世代の集客には、ご当地のグルメや、お洒落なカフェ、綺麗な景観、写真映えするスポットの存在が必要となる。その中で、最後に私は写真映えするスポットについて新たな提案を行いたいと考えた。フィールドワーク内での体験プログラムとして、もう1つ「赤穂緞通見学」をさせて頂き、手作業で一から作る模様の美しさとキメの細やかさは、非常に魅力的なものだと感じた。しかしながら、坂越エリアの路地裏を散策させて頂いた際に、何年も放置されたのか、廃れた様に見える赤穂緞通を目にする機会があった。その時、このような人の目に止まらない場所に置いておくのではなく、観光客に見てもらえる街中に置くだけでも、写真映えするスポットの1つになるのではないかと感じた。最後に、この2日間は観光について考える私達YDHにとって大変有意義な時間となり、迎え入れてくださった赤穂市の皆様には大いに感謝したい。