赤穂市フィールドワーク

2022.9.5~6


伯方の塩やない。赤穂の塩こそ1番や

水谷 恭輔

 

●はじめに

 

 2022年9月5日と6日の2日間、兵庫県赤穂市を訪問した。赤穂市は県の南西に位置する地域で、都市部から離れたのどかな町だ。時代劇等でも有名な赤穂浪士や忠臣蔵、日本三大緞通の1つである赤穂緞通など、歴史ある観光地や特産品が立ち並んでいる。この2日間、赤穂緞通の工房見学・製作体験等を実施してきたが、その中でも特に印象に残ったのは初日の塩づくり体験だ。このレポートでは、赤穂市の塩の歴史と塩づくり体験を通じて学んだことや気づいたこと、赤穂市の観光課題やそれに対する私なりの観光プランを記述する。

 

 

●赤穂の塩の歴史について

 

 まず、赤穂の塩の起源は弥生時代からとされている。藻塩焼きという海藻を天日干しした際に付着する塩分に海水をかけてかん水を作り、火で煮詰める作業を当時は行っていた。中世になると、揚浜式塩田という方式を用いられた。この方法は海水を砂浜に敷き、太陽の日光で蒸発した砂浜に海水をかけ、かん水を作るという手法だ。江戸時代になると、入浜式塩田と呼ばれる手法を取り入れる。具体的には、潮の干満によって海水を塩浜に流し、砂に塩の結晶を作る仕組みだ。この手法を導入したのは、江戸時代赤穂藩主であった浅野長直で、正保2(1645)年に大規模な塩田の開拓を実行したことがきっかけとされている。その後も永井家や森家に引き継がれた結果、千種川の東に約150ヘクタール、西に約250ヘクタールにまで拡大した。このように、赤穂の塩は時代を進むにつれて生産方法が進化し、赤穂が塩の町へと定着していった。

 

〇塩づくり体験の感想

 

 フィールドワーク初日に赤穂市立海洋科学館・塩の国を訪れ、塩づくり体験を行った。ここでは塩づくりの際にできるかんすいを、実際に火にかけながら混ぜて塩を作った。人生で初めての塩づくりだったので、とても新鮮で楽しかった。そして、その日の夕食で作った塩を使ったしおむすびを実際に食べたが、自分たちの手で作った塩を参加者と共に食べる光景は今回のフィールドワークの中で最も印象に残ったし、またここにきて食べたいと思った。

 

 

●赤穂市の観光課題

 

 次に赤穂市の課題を挙げていく。1つ目は地域ごとの集客数の格差だ。赤穂市にはキラキラ坂と呼ばれるSNS等で話題の映えスポットが存在するが、周辺の駐車場は車でいっぱいになるなど、プチオーバーツーリズムが発生している。また、現状キラキラ坂には多くの市外からの観光客を取り込んではいるものの、それ以外の施設(赤穂市立歴史博物館や赤穂市立海洋科学館・塩の国など)への巻き込みができていない。このことから、キラキラ坂周辺のオーバーツーリズムの緩和と周辺施設の観光客の利用促進を行政が考える必要がある。2つ目は高単価で地域にお金を落としてくれる20代・30代男女の観光客が少ないことが挙げられる。赤穂市来訪者のおよそ90%が満足と回答してる他、来訪者の約75%が2回目以降も赤穂市を訪れていることから、若者のファーストカマーを巻き込むことで、安定的に観光収入を得ることができる。これらの課題を踏まえ、ここからは1泊2日のフィールドワークを通じて気づいたことを旅行プランとしてまとめていきたい。

 

 

〇自然を体感できる『体験型観光プラン』

 

赤穂市は自然豊かな町なので、今回海を軸とした1泊2日の体験型の観光プランを導入すべきだと考える。以下がそのプラン内容である。

 

1日目

・海に出て船の上で魚の仕分けと試食体験

・赤穂市立海洋科学館・塩の国で塩田作業体験と塩づくり体験

・宿泊先の宿で、その日獲れた魚を使った料理を食べる。また手作りの塩を使ったオリジナルおにぎりを観光客自身で調理

2日目

・赤穂牡蠣の牡蠣剥き体験と試食

・赤穂市立歴史博物館で、赤穂浪士や忠臣蔵、赤穂緞通や塩づくりの歴史を知る

・SNSで人気沸騰中のキラキラ坂を歩く

 

 

〇最後にフィールドワークの感想

 

最後に、1泊2日のフィールドワークは充実した時間を過ごすことができた。人生初の塩づくり体験は一生忘れないし、この体験を友人や家族等に伝えたいと思った。私の家はよく塩を使っているが、その多くが伯方塩業が販売している伯方の塩だ。タイトルにもあるように、日本の塩といえば赤穂の塩だと認識してもらうためにも、今以上に塩を軸とした観光産業をおこない、市外にアピールすべきだと私は考える。