加西市フィールドワーク

2022.10.15~16


加西市だからこそ出来る劇場型周遊観光

田淵 友基

10/15,16の2日間加西市を訪れてフィールドワークを行った。今回は加西市劇場型周遊観光のモニターツアーとして終戦間際の鶉野・北条の歴史を学んだ。良かった面は沢山あるが、自分が改善点だと考えたところも何個かあり、その中で印象的だった箇所を中心に学んだこと、感じたことをレポートする。

 

 

●技術と歴史を学べるsora加西

 

sora加西の入口には飛行機の形をした鶉野平和記念の碑苑がある。この碑苑は平成11年に地元住民などの有志が建立したものだ。ここには神風特別攻撃隊で沖縄に向かい、帰らぬ人となった63名のお名前が載っている。実際に主にパイロット養成に使われた紫電466機と戦闘機として使われた紫電改46機の模型がsora加西に展示されている。紫電466機は3人乗りで飛行機よりも少し速い。本物は日本に1つしかない貴重な特攻機だ。紫電改46機は1人乗りで最高時速600キロの特攻機である。翼の下に自動フラッグがあり旋回が速いのが特徴だ。驚いたことは整備台。前は防弾ガラスになって敵の攻撃に耐える事が出来るように強固になっているが、後ろはあまり攻撃がない上、経費削減のためベニヤ板を用いて弱い作りになっている。印象的だったのは特攻機で出向いた人たちは戦争まで今の私たちと変わらないような生活を送っていたということだ。約10分の鶉野飛行場建設開始から終戦までのストーリー映像では時間ごとに戦争の歴史が映し出された。特に、特攻隊である白露隊になったことにより、多くの隊員の平和な日々が無くなってしまったことに悲しみを覚え、また当時の人のことを考えると胸が痛んだ。このようにsora加西では迫力のある紫電改などの模型や時間軸に沿った映像を見て戦争の歴史を知ることが出来た。

 

 

●タイムスリップ?出来る巨大防空壕跡

 

次に巨大防空壕跡を訪れた。長さが14.5m、幅と高さが5mある。戦時中は避難用ではなく、自力発電所として使われた。ここではコンクリートの頑丈な壁にプロジェクトマッピングを用いて、戦時中の出撃前の白露隊員が残した遺書がストーリーとして映し出された。1945年にタイムスリップをして戦闘服を着た隊員数名が自らの遺書を読み上げるシーンがあった。声を詰まらせながら隊員が話しており、自分は経験していないが当時の隊員の心情がとても読み取ることができ、自分がもし隊員の立場だったらどう考えていただろうと思った。しかし、防空壕の外に出てから先程まで過去にタイムスリップした設定が曖昧になっており、自分の心の中で現代に戻ってしまった。せっかく1945年の時代を映像で経験したからこそ劇の最後まで現代に戻らず、戦時中の心情でいたいと考える。

 

 

●北条鉄道との繋がり

 

私はこの劇場型周遊観光を北条鉄道と連携して取り組んで欲しいと考える。普段の鉄道の時間との兼ね合いもあるが、キハ40のような有名な列車を法華口駅から北条町駅まで貸切で使うということも方法の1つだと思う。鉄道マニアだけでなく北条鉄道はファミリー向けに夏はカブトムシを使って列車を動かしたりなど沢山の企画がある。列車に乗っている時間に劇を演じるということもお客を劇に引き込ませる1つの方法では無いかと考える。

 

 

●五百羅漢での最後のシーン

 

劇の最後は誰かに似た像が沢山あると言われている五百羅漢で劇を終えた。最後のシーンでは石仏を使いながら主役の隊員と女性の方の別れのシーンを描いており、それぞれの感情が伝わった。しかし、最後全てナレーションで終わってしまい、劇の物足りなさを感じてしまった。最後だからこそナレーションは一部で、劇を中心に演じて欲しいと思った。

 

 

●まとめ

 

今回の加西フィールドワークで「戦争」について改めて考えることが出来た。世界で戦争が既に起きており、日本も他人事ではない。今までは戦争のことを学校の教科書から知るなど表面上で学ぶことが多かった。だが今回の劇場型周遊観光のように教科書には載っていない、あまり知ることの無い当時の戦争に出向く人の感情、心情を劇で読み取ることが出来た。今までは学校などで戦争を学ぶが話を聞くだけという形になり、あまり話が入ってこないことが多々あった。しかし今回は劇に出てる人が観ている人を巻き込んで一緒にシーンを作ったり、食事も昼食は当時のご馳走だった鶏を使ったすき焼きをリメイクしたものなど、加西市という戦争の歴史のある町を使った劇を五感で感じることが出来た。戦争に出向く白露隊の方々は19歳の私と変わらない人たちが数多くおり、自分と近い年齢の人達が戦って亡くなったと思うととても考えさせられた。最後に今身近にある当たり前のことがいかに幸せなのかを改めて知ることが出来て、今回このフィールドワークに参加して本当に良かった。