丹波篠山フィールドワーク

2021.3.21~23

日本遺産「デカンショ節」で有名な丹波篠山市をメンバー8人が訪問。地元観光関係者から城下町や宿場町の歴史を学び、古民家・ゲストハウス宿泊で多拠点居住の魅力を体験しました。集落丸山の古民家で過ごす夜は、ボタン鍋を自炊する夕食の後、地元活性化事業に取り組む方々とポストコロナの観光の在り方について協議の場を持ちました。

 


report

網歩乃佳/国際教養大学

 

 ●はじめに

今回3月21日から3月23日までの3日間、丹波篠山市を訪れフィールドワークを行った。3日間にわたるフィールドワークでは、丹波篠山の文化学習のみならず地域の方々との交流を経て様々な気づきを得ることが出来た。その気づきや発見を以下に記している。

 

●1日目

1日目は主に丹波篠山の歴史や日本遺産を見学・体験するため、城下町エリアを中心に徒歩で散策を行った。まずは篠山城を訪れ、次に青山歴史村でデカンショ館に入り丹波篠山の歴史や遺産を学んだ。そこから徒歩で河原町にある妻入商家群まで向かう道中、お店に立ち寄ったりなど行き当たりばったりのような形で散策を行った。

 

丹波篠山の歴史的背景として、徳川家や青山家本家が関わっており、江戸と篠山の往復が盛んにおこなわれていたことを初めて知った。また教育にも熱心に取り組まれていたことから、福沢諭吉と縁があったり篠山から東京へ進学する人が多かったりなど、篠山と江戸との関わりを知ることが出来た。

また、篠山城についても深く知ることができた。篠山城が築城されるにあたっての篠山の土地や地盤と城の関係性や築城に至った背景、徳川家や青山家と篠山城の関係性など、様々な観点から篠山城について学んだ。続いて青山歴史村にあるデカンショ館にて、日本遺産に初めて登録された文化の日本伝統文化の一つである「デカンショ」について詳しくお話を伺った。デカンショは300ほどの歌が存在しており、幅広い地域で馴染みがあること、現在も歌が作られていて今も増え続けている事を知った。お話のあと、デカンショ節の一節の踊りをレクチャーしていただき、実際に歌とともに踊る体験もした。一見難しそうに見える踊りだが内容はシンプルで踊りやすく、宿泊先に行っても思わずみんなで踊ってしまうくらいすぐに体に染みつくような振付だった。日本遺産として形が守られつつ、今も増え続けているデカンショ節。現代ならではの価値観が伝統文化の歌の一つになることで「今」と「伝統」の融合が見られる面白さ、それらが今後も文化の一つとして残されていくことでこの世代に生きる人々も一緒に伝統を作るまたは伝統を残すことに役立っていることを実感できた。

散策では予定外のお店に入ったり、新たなモノの発見があったりするなど徒歩で巡るからこその面白さを体感できた旅でもあったと感じている。地元の八百屋さんに入り晩御飯の食材を手に入れたり、名産である黒豆を使ったパン屋さんが数多くあるのを発見したり、磁器のお店をされている方に出会ったりなど、散策をしたからこその発見や交流ができた。

 

●2日目

2日目はまず株式会社NOTEさんのオフィスに伺わせていただき、丹波篠山の観光コンセプトについて、意見交換の場を設けていただいた。株式会社NOTEさんが持つ「丹波篠山の普段の生活」という観光コンセプトを、どうすればより良い形で実現し、丹波篠山地域の観光の最終ゴールである移住につなげられるのかといった説明をいただき議論をした。

午後からは城下町から少し離れた福住という地区を訪れた。午前のミーティングで話題に上がったパン屋さんに向かったり、おしゃれなカフェでコーヒーを飲んだりなど大学生が普段から行きそうな場所を尋ねながら、宿場町でもあった街道に沿って町を見学した。近年芸術家の方の移住が多いことから、この地域にはいくつかの工房やお店が並んでいた。

この街道沿いでの散策を通して、印象に残った2点がある。1つ目は、福住は1日目に周った城下町のエリアと同様に街道があるのにも関わらず、景観が全く異なっていた点である。城下町では景観が統一されており、歴史的な家屋や風景が保全されていた。河原町エリアに関しては電線の地中化により電信柱さえもなくなっていた。比較して福住地区は景観に統一性がなく歴史的な家屋と現代の一般的な住宅家屋が隣り合わせに並んでいた。2点目は、地域住民との交流である。福住には市役所の方や丹波篠山に移住し事業をされている方に同行していただいたのだが、すれ違う地域のすべての人とあいさつをしたりお話をされたりしていた点に驚いた。またある方は初対面の私たちに地域の時代の変遷について教えてくださった。このフィールドワークで聞いていた、「丹波篠山の人のフレンドリーさ」をまさに体感するような出来事だった。

 

●宿泊先について

今回、1泊目は限界集落にある古民家に、2泊目は城下町にある古民家を改装して作られたゲストハウスに宿泊した。

1日目は集落丸山の築150年を超える古民家に滞在した。家に入った瞬間のにおいや暖かい空気感は今でも印象に残っている。建物そのものも、間取りも立派な日本家屋で、かまどや五右衛門風呂もあり、タイムワープしたかのような空間だった。タイル張りの立派な独立キッチンやベッド、ストーブなど現代的な家具・家電も備わっておりなによりそれらが伝統的な日本家屋になじんでいたことに驚いた。あたりは街灯も一切なく山に囲まれているため、夜にはきれいな星が望め、朝は日の出とともに鳥のさえずりで目が覚めるなど普段見聞きできない光景があった。

2日目は城下町にあるゲストハウスKURIYAに宿泊した。1日目とは違って街中にあり、2段ベッドやドミトリーなど現代的な宿泊施設になっていた。しかし建物そのものや内装は昔のまま残っており城下町の雰囲気に溶け込んでいた。ホールにはソファーがおいてあったり、大部屋はかなり広くスペースがあったため、夜にはフィールドワーク参加者で集いながら話したりフィールドワークの振り返りを行うことができ、とても有意義な時間を送ることが出来たと感じている。

 

●まとめ

2泊3日という長くて短いような丹波篠山の滞在だった。たった3日間であったが、数多くの歴史や文化、環境に触れることができた。城下町エリアは「和」、福住は「洋」の雰囲気があり、似た景観であっても和洋の雰囲気に少し違いがみられたことが興味深かった。私自身兵庫県出身であるが、丹波篠山市に観光目的で訪れたことがなく今回が初めての滞在であった。県内からであると電車でのアクセスも容易なためまた訪れたいと思う場所になった。

 

 


大西 夏季

兵庫県立大学

 

 ●丹波篠山の魅力

"丹波篠山は日帰りするにはもったいない場所"というのがこの3日間を通して感じたことです。

<宿泊>

京阪神からアクセス良い丹波篠山ですが、それが逆に宿泊の足枷となり日帰り客が多くなってしまっているそうです。しかし丹波篠山には古民家をリノベーションした温かみや風情を感じられる宿泊施設などが意外と多く存在しています。1日目に泊まった"集落丸山"もそのひとつで、また来たいと思える素敵なところでした。チェックインしてすぐ広々としたオープンキッチンで猪鍋を作り、みんなで囲んでたらふく食べました。寝る前はクラッシックを流しながら、初めて見る昔ながらの暖炉であたたまり、お茶を淹れて広いソファで旅について語ったりして優雅な時間を過ごしました。

ぐっすり眠った次の日の朝、窓からは日が差し込み鳥の囀りで目が覚めました。ここでは地元の主婦さんが朝ごはんを支度してくださるようで、別の棟に泊まっていたメンバーたちはだんだん漂ってくる美味しそうなにおいと包丁の音とで最高の目覚めだったそうです。地元の食材を使った栄養満点の朝ごはんは美味しくて身と心に染みました。こんな経験は都会ではきっとできなくて、日帰りでは味わうことのできない貴重なものだと思います。


<観光>

黒豆パンの食べ比べやオムトロ丼で食を楽しみ、デカンショ節を踊りったり篠山城大書院などの施設を訪れ、壮大な棚田などの自然や満点の星空などの景色を存分に楽しみました。

私は城下町の雰囲気が好きで訪問する前から楽しみにしていたのですが、落ち着いていてどこか懐かしさを感じらる、やはり素敵な空間でした。電柱が地下に埋められていていてる場所もありスッキリ広々としていました。代わりに電灯がぽつぽつ並んでいて夜歩いたら綺麗だろうなと思います。次行く時は着物を着てゆったり城下町を歩きたいです。

城下町に溶け込むお店はどれも素敵で写真を沢山撮ったのですが、中でも一番シャッターを押したのは"ハクトヤ"さんです。陶器から始まり古着やレトロな雑貨など、色んな作家さんの作品が散りばめられていてわくわくが止まりませんでした。このように丹波篠山には1日では回りきれないほど多くの魅力的なスポットがありました。近くから来る人であっても心安らぐ古民家やゲストハウスで足を休めつつ、ゆっくりと時間をかけて丹波篠山を味わって欲しいです。

●まちの在り方

2日目に福住地区を歩いていると住民のおじさんが私たちに話しかけてくださいました。家の前の通りは昔大名さんが行列をなしていたということを自慢げに話してくれたこと、そして"どんどん色んな人にきて欲しい、ここに住んでるみんなそう思っているよ"とおっしゃっていたことに衝撃を受けました。私は大学で地域創造について少し学んでいるのですが、田舎と呼ばれるような大抵の地域では古くからの住民と新規参入者や観光客との間に壁があることを感じていました。加えて、とても素敵なところなのに"ここには何もないから"と地域の発展を諦めてしまっている住民の方々にも現地で多く出会いました。

しかし、このおじさんだけでなく、訪れたお店の方々や1日目の夜ディスカッションしてくださった各所で活躍していらっしゃる方々は、丹波篠山に魅力を感じていて誇りや自信に満ち溢れているように感じました。そして来るもの拒まず、温かく私たちを受け入れてくださっているようにも町全体から感じられました。地域を守っていくのはとても大変で、これからも過疎化する地域は増加していくでしょう。全てが観光地化すれば良いと言うわけではないのかもしれませんが、自分のゆかりのある地域に誇りを持ち来る人を拒まず受け入れると言うことはとても大切なことだと改めて気付かされました。

 


下園 智音

関西学院大学

 

 

丹波篠山のフィールドワークに参加して特に印象に残っていることは、丹波篠山は地域一丸となり地域の魅力を創ってきていると感じた点です。

 

丹波篠山には多くの魅力があり、その一つには丹波篠山でさまざまな時代を感じることができることです。篠山城では昔の景色を思わせるような、当時の建物を再現しています。城下町では風情ある街並みの中に篠山の名産や特産のものが並んでいます。デカンショ館では、この町に伝わる文化を体験でき、また香り体験などもあるため、若い方にも十分楽しんでいただけると思いました。また、城下町には雑貨屋さんがあります。このように古い建物や文化から新しいデザインによる食器類などを通して、時代の流れを感じることができました。

また、丹波篠山には自然が多く丸山集落ではふきのとうやつくしなど普段見かけることのない山菜を目にすることができました。また古民家のなかの匂いは、どこか懐かしく思うような匂いで、この古民家で料理をしたり、縁側で日向ぼっこをしたり、緑や風を感じながら、丸山集落でやりたいことが頭の中に浮かんできました。朝には、集落の方が朝ごはんを用意していただく音で目を覚まし、耳にしながら準備をする朝はとても気持ちよかったです。

 

そして、そんな丹波篠山がよりよく見られるように町全体での一体感を感じました。初日の夜の集落の方とのミーティングでは、職種が違うのにも関わらず同じ方向を見ていました。丹波篠山の地域全体が良くなるようにと皆方法は違うが、丹波篠山がより魅力的になり多くの人に知ってもらえるようになることを目指していました。それが、教育の面から農業、宿泊業など多方面からの政策を行っていることがわかりました。例えば、教育面では地域の祭りに学生を参加させて地域との関わりを持てるようにすることで、普段学校で学ぶことのできない社会体験ができ、地域に愛着が湧くようになります。このように、地域の人にも丹波篠山を好きになってもらうと考えています。

 

今回、丹波篠山フィールドワークの機会を頂き丹波篠山の魅力を体感しました。また私たちの年代にも新しい発見や丹波篠山を楽しむことができたので、若い人にも刺さる何かがあるように思いました。今の田舎は古いようで都会より先端を行っているのかもしれないとそんなふうに感じたフィールドワークでした。

 


瀬野 佳奈

関西学院大学

 

3月21日から23日の3日間、丹波篠山を訪れ、城下町、福住、丸山集落の視察や、その土地で働く方々と議論を行いました。

 

私は篠山を巡る中で、それとなく街や人が活き活きしていると感じました。振り返ると、それは篠山の方の人柄や地域内の繋がりの強さが関連しているのではないかと思います。私は地方に仕事はあまりないと思い込んでいましたが、篠山で面白い取り組みを行う方達に会い、良い刺激を受けました。例えば、丸山集落の古民家でお会いした商工会や農家の方々です。「地域の子供達のために地元で働く人と話す機会を作りたい」等、社会課題を自分事と捉え、未来を良い方向に変えようとするエネルギーを感じました。また、自分の在り方と暮らしに向き合う方達もいました。都会から移住し、篠山で叶えたいことを貫く姿勢がかっこいいと思いました。

 

人柄に加えて、街全体で支え合う雰囲気も印象的でした。例えば、城下町や福住のカフェや雑貨屋、どのお店にも他店の名刺が複数枚置いてあること。また、福住にあるパン屋が、地元の野菜やグラスを使用している等、地域の物を活用するお店が他地域より多いことです。私はお店で見かけた物が近くのお店にあると知り、訪れてみたいと感じました。株式会社NOTEさんや集落丸山の方から、街づくりにおいて地域の皆で同じ軸を持つ大切さを学びましたが、軸に加え、地域の繋がりがあることで、篠山を訪れる人は次々と店や人を訪ねたくなるのかもしれないと考えました。

 

田舎と聞くと、「過疎化」「少子高齢化」「建物の老朽化」と言ったマイナスのイメージを持つ人がまだ多いと思います。しかし、今回のフィールドワークで感じたように、篠山には各々が自分の在り方と向き合い、地域で助け合って課題に向き合う人々がいます。私達YDHメンバーは,地域で働く方々とお会いする機会をいただきましたが、大学生にとって普段はあまりないと思います。企業のインターンシップを通して社会を経験する人は増加していますが、地方で働く人、特に自営業を営む方とお話する機会は少ない印象です。今後、私達大学生が地方に足を運ぶことや、観光や教育を通してその様な方々と会う機会が増えて行けば、田舎へのイメージが変わってくるのではないかと思います。足を運ぶきっかけや地方で働く人を知る仕組みについて、今後の活動を通じて考えてみたいです。

 


土岐 厚博

神戸学院大学

 

 

集落丸山滞在、城下町・福住のまちの訪問を通じて人と人の繋がりが非常に濃いと思いました。集落丸山では空き家を改造した民宿に宿泊し、布団に湯たんぽを入れ温めてくださる等様々な気遣いを受け取ることが出来ました。宿泊した中で、私は特に民宿と地元の人々のコラボレーションが印象に残っています。宿泊先で宿の関係者が出迎えてくださることはよくありますが、地元の方々が宿に関わっているということは中々あるものではなく斬新であり、これが篠山の素晴らしいところなのではないかと感じました。実家に帰ったような安心感や朗らかさというものが篠山には自然と根付いていると思いました。また、篠山という場所は人同士の距離が近く、考えていることや悩んでいることなど相談が容易な環境にあるのではないかと思いました。その中で逢う人すべてが温かく観光客を迎え入れてくれ、他の地域では感じることが出来ない非日常を味わうことが出来ました。

 

そして、磁器のお店などを訪問した際に、お店のオーナー様から篠山で暮らそうという強い意志や篠山の土地の魅力に引き込まれたのだなということを感じ取ることが出来ました。お店のオーナー様は若い方が多く、都会よりも篠山に魅力を感じていることに少し驚きました。また、篠山でお店を営む方すべてが良い印象ばかりを抱いているわけではなく、少し不安を抱いている方がいることも分かりました。コロナ禍が影響していることもあり、なかなかお客様が来てくれないという現状も分かりました。そういった困った方々を微力ではありますが、何とかして助けてあげたいという気持ちにもなりました。このような気持ちになった原因は篠山という土地柄や人柄が影響していると思います。

 


長坂  夏実

神戸学院大学

 

 

この丹波篠山フィールドワークで「人は地域の資本」と感じた。

 

私は今回、丹波篠山市において2泊3日のフィールドワークに参加し、散策したり、改修された古民家に宿泊したり、地域の方々とお話をさせていただく機会を頂いた。

このフィールドワークを通して感じたのは、「人は地域の資本」だということだ。そのように感じたのは、観光を含め地域と触れるときに、その地域の人の温かみが旅の満足度に大きな影響を与えると改めて考え直させられたからである。

 

たとえば、初日に宿泊した集落丸山では、地域の方とのミーティングから戻るとベッドに湯たんぽとメッセージがあった。父が電気毛布をつけてくれている姿と重なり、同時に心に温かい何かが流れた気持ちになった。小さな気遣いではあるが、人の気遣いに心が動かされたのだ。

また、集落丸山で宿泊した翌日、目が覚めて、辺り散策をしていると地域住民の方に出会い、その人は当たり前のように、挨拶をしてくれたのだ。それだけのことだが、このまちに歓迎されているように私は感じた。挨拶は日常生活において当たり前のことで、それだけで歓迎されていると感じ、心を動かされた点に疑問を感じる人もいるだろうが、都会では見知らぬ人に挨拶をすると無視されることもあり、小学生の時点でそのような経験をしている。そのため、人と人の繋がりのはじまりである挨拶を通して、まちの人の温かみが旅の満足度に大きな影響を与えると考え直させられた。

 

また、先述の地域の方々とのミーティングでは、置かれている立場は異なるものの、参加してくださった方々は地域に対する想いをそれぞれ持っており、このような方がいる地域はなくならないだろうと感じた。大学の講義で田舎と呼ばれるような地域に居住する人のお話などを聞く機会があったが、みなさん地域の危機感などを話してくださることが多く、希望をもって話されている方が少なかった印象があったが、ミーティングに参加してくださった方々は地域の将来に希望をもってお話をされていて、その点が特徴的だと感じた。そして、このような機会がなければ気づかなかっただろうと思った。また、新しい人を受け入れる土壌があるということを伺い、前述の自身が感じた特徴に加え、そのような土壌があることは地域の強みになり、今後発展する準備の整っている地域だと感じた。

 

<まとめ>

綺麗な空気に触れ、鳥のさえずりで心が癒され、土鍋のお米の匂いに誘われてお腹が鳴った体験や、地域のものを食べたり、自分が住んでいる地域では見たことない量の星が見えたりと、都会生活で鈍った感性を研ぎ澄まされたような感覚に陥った2泊3日であった。しかし、この2泊3日はただ感覚を研ぎ澄まされただけでなく、コロナ禍で忘れかけていた人のぬくもり、心を動かすものに出会えたものであり、田舎の強さ、丹波篠山はなくならないことを強く感じられるものでもあった。地域の活力がまちづくりに大きく関係すると私は考えているため、地域にあった観光、地域全体で取り組んでいけるような体制が展開できるように、YOUNG DMO HYOGOとしても個人としても、今回訪れた丹波篠山地域も含め、他の地域の観光の実情などを学び、地域の方々と共に地域の将来を模索していける団体であり、そのような人でありたいと感じた。

 


中野悠紀/関西学院大学

 

私が丹波篠山に興味を持ったのは、アーティストがたくさんいると聞いたからだ。そして、それは本当で、日本にこんな街があるのかと驚いた。焼締でモダンな食器を作っているアーティストの方とお話できたり、NOTEさんのオフィスの壁の絵を見れたり、アートフェスについてお話を聞いたり本当に楽しかった。アーティストは、日本から出ていきやすいように感じていたが、丹波篠山をみてまだできることはたくさんあるなと感じた。

 

丹波篠山の旅で、私は本当に篠山の朝に魅力を感じた。2日目は城下町で、1日目の集落丸山に宿泊した。

城下町の朝気持ちがよく、地域の人々とすれ違えて少し街の人になった気持ちになれた。それに。少しの霧のおかげで篠山城の幻想的な姿を見れたのも良かった。

それでも、集落丸山の朝は桁違いだった。何もしなければならないことがなく、何でもできるあの場所で過ごす朝は本当に価値があった。少し開きにくいカーテンも、朝露で潤った道を歩くのも、地域のお母様が作ってくれる朝ごはんの音もほかでは味わえない。前日に土間で料理を作れたのもとても楽しかった。

 

また天空農園は、朝だけでなく夜の星空の話を聞きぜひ戻ってきたいと思った。田舎でも山さえ遮らない夜空が見られる場所は多くない。茶の間のふすまを開けて、映画のように星空を見られる夜を体験したい。そして次の日の朝、少し早く起きて露天風呂に入り、美味しいご飯を作りながら暖炉の火をいじり、外で空気を吸いながら朝ごはんを食べる。カフェに行くよりもずっと豪華な朝だ。

 

私が、日帰り旅行でなく宿泊旅行を決めるとき、①美味しい料理がありすぎる ②見たい場所がありすぎる ③過ごしたい朝がある のどれかがあてはまる。丹波篠山には、③過ごしたい朝があった。

例えばチェックアウトまでの時間の過ごし方の提案などもっと朝を押し出した企画があれば、若者から大人まで少し目を引くキャンペーンになるように感じた。

 

デカンショ節は、tiktokを利用した認知向上が向いていると思う。短い節が大量にあり、毎年新たな歌詞が生まれるこの踊りは、オフラインtiktokだ。音源を共有し、踊りを動画にすればデカンショ節が東京で有名になったように世界で有名になれるかもしれない。

他の地域にも当てはまるが、田舎だからこそ広く使える場所をしっかりと使い切ることが、都会では味わえない田舎の良さだと思う。空気の美味しさや水の美味しさ、野菜の美味しさ。思っているよりも若者もわかっているし、感じる。おしゃれさだけを求めている若者ばかりではないから、地域の良さを存分に味わえる旅をもっとしたいと思える3日間だった。

 


棟重 美咲

関西学院大学

 

 

●はじめに

3月21日から三日間、丹波篠山市のフィールドワークに参加しました。城下町観光を行ったり、地域創生をされている方々からお話を伺ったり、どれもすごく濃い経験になりました。特に印象に残っているのは、1日目の集落丸山での宿泊体験です。

 

●集落丸山での宿泊体験

1日目、城下町での観光を楽しんだあと、「どんな場所なんだろう」「みんなで自炊するのたのしみだな」そんなことを考えながら宿泊施設へと向かいました。バスを降りると、目の前にはたくさんの自然といくつかの古民家。初めて来たにもかかわらず、建物のにおいや空間から、おばあちゃんの家に久しぶりに帰ってきたような温かさや懐かしさを感じました。また、宿泊施設について、私は三田市の古民家再生の事業に携わっていますが、当施設のような大きな古民家に入ったのは初めてです。「どこにどういう部屋があるんだろう」「この襖はどこにつながっているんだろう」小さい頃におばあちゃんの家で親戚たちとかくれんぼをしたときのようなワクワク感に浸りながら、みんなと部屋の散策をしました。そして、夜ご飯。ぼたん鍋の自炊です。自分は今、一人暮らしをしています。最近はコロナ禍ということもあり、友達と集まって食べに行くこともなく、一人で夜ご飯を済ますことが多いです。だからこそ、“みんなで作った夕食をみんなで食べる”ということは、当たり前のことだけど、今の私にはどこかグッとくるところがありました。夕食後は、集落の出身者でもあり、集落丸山の経営者である佐古田さんを含めた数名の方とミーティングをしました。地域の人たちがどういう思いを持ち、この施設を経営しているのか、それぞれの人生観や価値観を基にたくさんのお話をしてくださいました。地域創生に関心がある私にとっては、非常にためになるお話ばかりでした。なによりも日曜日の夜、次の日から仕事という一番ゆっくりしたい時間であるにも関わらず、私たちのために時間を割き、集まってくれたことに感謝です。ミーティングを終えた後は、自由時間。寝ようと思えば寝れる時間、個人の空間に行こうと思えば行ける広さがあるにもかかわらず、しばらくの間、小さな机をみんなで囲み、談笑をした時間は非常に楽しかったです。集落丸山には“丸山日記”という、宿泊者の感想を自由に書くことができるノートがあります。「読書にふけていました」「散歩に行きました」など、ああ確かにそんな過ごし方もあるなと思わせてくれる内容です。そして多くの丸山日記には、「また来ます」「今度は○○がしたい!」という“次回の約束”が書かれています。私自身もそうですが、“また帰ってきたくなる”そんな場所や時間を経験することができました。

 

●フィールドワークを通して

近年、いなか暮らし体験をコンセプトにした宿泊体験が流行っています。そして多くのパンフレットには決まって、“この場所が第二のふるさとになります”などという言葉が書かれています。私は今までこの言葉はお客さんを誘うためだけの上っ面の言葉だと思っていました。しかし、この3日間、篠山でのフィールドワークを通して、兵庫に住み始めてまだ2年、丹波篠山という場所にもあまりなじみのなかった私でも、「もう一度この地域を訪れたい、また来よう」そういう気持ちになりました。そう思えたのは、丹波篠山市の人たちが温かいこと、この地域がいい意味でなにもなく、自然に満ち溢れている場所であるからこそ感じられたことだと思います。都会とは離れた空間であるからこそ、日常を大切にできる、当たり前に気付くことができる、素敵な時間を過ごすことができた気がします。