2021.8.5~6
西脇市フィールドワーク


幸田 英龍

関西大学

 

 8月5日、8月6日の2日間西脇市を訪れ、フィールドワークを行いました。今回のフィールドワークを行うにあたって、私は注目する点を決めて臨みました。それは、働いてる方の表情です。市役所のような行政の現場で働いてる方や、tamaki niimeさんのようなアパレル業界で働いてる方がどのような表情を浮かべて仕事をしているのか、大学生である私にとってとても興味があったので、そこに注目をしながら、フィールドワークに臨みました。

 

〇1日目
1日目は、西脇市役所、旧来住家住宅、播州織工房館に訪れました。まず最初に西脇市役所に到着し、訪問しました。西脇市役所は、2021年5月に新庁舎が完成したこともあり、とても綺麗な外観でした。入ってみると、そこは職員が働くだけの場所ではなく、トレーニングジムや屋上テラスなど、1つの市役所ではなく、市民の交流施設にもなっていました。その西脇市役所では、職員の方から西脇市についての話、西脇市とSDGsの繋がりについての話、西脇ファッション都市構想の話をうかがいました。西脇市役所の職員の方は非常に熱のこもった表情で話をしてくれました。1つの地域を盛り上げるために、次の政策等を考え、持続可能な社会になるよう努力を重ねている姿を見て、とても感銘を受けました。次に、旧来住家住宅を訪問しました。旧来住家住宅は、大正時代に栄えた「来住家」が建てた住宅で、当時の最高級材を適所に使用した高級住宅です。現地の職員の方には、畳の素材、天井に使われてる木材の素材など、こと細かく説明を受けました。家の中には庭園もあり、大正時代からの歴史を感じることができました。職員の方はとても楽しそうに、僕らと会話するように説明をして下さいました。その次に、播州織工房館を訪問しました。播州織工房館では、播州織を使った製品の展示、販売がされており、さらには大型の織機が展示されていて、その実演を見ることができました。工房館の職員の方は非常にパワフルな方で、私たちに真剣に、楽しく説明をして下さいました。また、工房館の外にはコットンが植えられていました。コットンを収穫し、使用し、コットンの種をまた植え、また収穫する。そのような循環の中で播州織の作品はできているのだと、知ることができました。

 

〇2日目

2日目は、tamaki niimeさんの工房に訪れ、様々な体験をしました。tamaki niimeさんの特徴はデザイン、生地の生産、製品の製造、販売を全て自分たちで行っていることです。海外に頼ってないので、コロナ禍でも売上は上がり続けています。そのtamaki niimeさんの工房では、小さいニット帽作り、大判ショール作り、藍染めの体験をしました。自分で配色を考え、出来上がった物にはとても愛着が湧き、大切にしたいという気持ちがより一層強くなりました。さらに、今回の体験を通して、物作りはハードルが高いものではなく、身近なものだと感じることができました。また、tamaki niimeさんで働いている方は全員楽しそうな表情を浮かべて仕事をされてました。交流させていただいた職員の方全員から「自分の好きなこと、やりたいことをしてるから楽しい」という話を伺いました。好きなことをやり続けることが、どれだけ重要なことか知ることができました。 今回のフィールドワークを通じて、西脇市、播州織、tamaki niimeさんの魅力を肌で感じることができました。私がそう感じたように、このような体験から、西脇市に訪れた人が、西脇市の魅力に気づき、年齢関係なく、西脇市の関係人口となって西脇市を盛り上げていくのだと感じました。また、今回交流した方の表情は全て明るく、自分のやりたいことをすることの大切さを改めて感じました。

 


卜田 真輝

甲南大学

 

八月五・六日、西脇市へ赴く運びとなった。私自身、西脇市は高校駅伝が開催される地であるから何度も訪れた事はあったが、観光らしい観光をしたことがなく「知っていそうで知らない地」だった。しかし、今回のフィールドワークを通して西脇市の魅力を発見すると共に、これからの産業や企業の価値を考える上で考える事が多数あった。本文では、西脇市役所での会議と「tamaki niime」さんでの活動に於いて考えた事を中心に述べていく。

 

 初日は西脇市役所へ。ここでは市役所の見学、市の経済・地域創生担当の方からの西脇市のレクチャーと意見交換を行った。西脇市はやはり地方都市である事から、少子高齢化・人口減少が進んでいる。また播州織をはじめとした産業も失われつつあるという。

こうした問題の解決と市の持続のために、「循環」をテーマとして政策が進められている。例えば農業では飼料を地のわらを用いる純西脇産の「黒田庄牛」のブランド化・販売、そこから発生した牛糞を堆肥にして農作物を育てる、農作物の中でも酒米を育て、西脇ブランドの日本酒を売り出すという循環を生み出す取り組みが行われている。その成果もあり、都市部から西脇に移住された方もいらっしゃるという。

二日目は「tamaki niime」さんの工房にて施設見学とワークショップを行って頂いた。「tamaki niime」さんは播州織の新しい型を模索しているアパレルブランド。従来、生地のみ製造販売をする播州織のビジネスから、製品企画、製造、販売まで一括して行うビジネスに変えて運営されている。また、織物の原料である綿花の国内生産を復活させる為の取り組みも行われている。

 

 この二つの活動で考えた事は、農作物産業と播州織の産業構造がよく似ている事、それ故似たような課題を持っているという事である。両者ともに最終製品の下地を作って売る、後は加工者・販売者が担うという構造である。しかしこれでは生産者は消費者である私たちへの意識は向かないし、逆に消費者も生産者へ意識が向かない。例えば前者は効率的な生産のために環境に害があるような農薬を使う事、後者は生産地よりも価格を重視する事だ。すると、価格が安い海外産が有利になり、国内の生産者が衰退してしまう。生産者の衰退はその産地の活気が失われ、人口流失といった別の問題が起こるようになってしまう。実際、ここ西脇でも例のようなことが起こっているし、日本の至る所で同じ問題が生まれている。

その問題の解決に向け「ブランド農作物」を使った製品や「tamaki niime」さんのシステムである原料の製造から販売まで一括で行う取組は、今後の地方の活気づけに必要であり、標準となっていかなければならないと考える。価格が少し高くとも、生産者(ここでは生産・加工・販売全てを担うものという意)のこだわりが伝わり、その産地の活性化の助けになるような製品が市場にあふれる、そんな時代になって行って欲しいと思う。

 

 また、「tamaki niime」さんで感じた事として、働く人々の姿に圧倒させられた。こちらで働く人々は皆自由な服装で、活き活きとした表情で働いておられた。加えて昼食や体験活動をする際に、工房の皆様がなぜここで働いているのか、こちらで働くまでの経緯について、様々お話をする事が出来た。また、職業体験で来ていた高校生とも話す機会があり、将来の夢やそれに向かって進路を決めたという話を聞いた。どちらも共通しているのは、自分のやりたいことに真剣に取り組む姿が輝いて見えたこと、またそのように働ける場というのがこのポストコロナ時代の標準になってほしいという事である。果たして将来自分はこの人々の様に輝いて生きているだろうか。

 

 以上が西脇フィールドワークから学び取った事である。初のYDHフィールドワークであったが、とても楽しく、また考えさせられる事が多かった。次の機会でも、楽しみながら地方の現状を見て、地方や社会、そして自分自身の未来を考える機会としていきたい。

 



平川 千夏

神戸女学院大学

 

8月5日から6日にかけて西脇市を訪れ、フィールドワークを行いました。今回のフィールドワークでは、西脇市役所の方々との意見交換、市内の施設視察、tamaki niimeでのワークショップ体験を行いました。

 

1日目は西脇市のSDGs都市計画・ファッション都市構想について市役所の方々との意見交換、市内施設の視察を行いました。

市役所の方々との意見交換では、市役所の施設見学を行った後、職員の方から西脇市SDGs推進計画とファッション都市構想のプレゼンをしていただき、意見交換を行いました。西脇市は山に囲まれ、市内の中央には川が流れる自然豊かな土地です。そのため農業が盛んで、「黒田庄和牛」、「金ゴマ」などの特産品が数多く存在しています。地場産業としては、200年以上の歴史をもつ「播州織」があり、国内先染織物では70%以上のシェアを占めています。ですが、デザイン、染色、製織、仕上げ・加工の4工程が全て分業されており、「最終製品」の製作は市外のアパレル会社が行っているため、「播州織」の認知度が低いという課題があります。その課題を解決するため、西脇市では人材誘致や育成に特に力を入れていました。

意見交換が終わった後は、市内を散策し、旧来往家(きゅうきしけ)住宅、西脇情報未来館21、播州織工房館、コワーキングスペース「CONCENT」を訪れました。市内にはどこか懐かしい雰囲気が漂っていて、レトロな雰囲気のお店や建物を見る度に、秘密基地を発見したような気持ちになりました。ですが市内を散策してワクワクする私の気持ちとは裏腹に、街の人通りは少なく、活気がないように見えました。街に活気を取り戻すためには、街に訪れる人を増やすことが重要なのではないかと感じました。

 

2日目は、tamaki niimeでワークショップ体験を行いました。

最初に工房を見学した後、染色体験、ミニニット帽づくり、ストールの配色体験を行いました。私の故郷でも織物が有名で、伝統工芸品に触れてきてはいたのですが、実際に「つくる」体験をしたのは小学生の社会科見学以来でした。何をつくるか思いを巡らす時間を過ごしたり、何が出来るか分からずワクワクする気持ちを感じたりして、「つくる」楽しさというものを改めて実感しました。ワークショップ体験を通じて最も感じたのは、実際に「体験」することの大切さです。ある「物」が存在していて、その「物」がどんなに素晴らしいと思っていても、その「物」がどのように作られているのか分かっていなければ、その「物」の本当の魅力を知ることはできません。ワークショップ体験では、実際に体験して、製品がどのように製作されているのかを知ることができました。また昼食は、工房の方と一緒に話をしながらいただきました。最も驚いたのは、現在工房で働いている方々の経歴が多様であるということです。以前は公務員をされていた方や、包丁職人をされていた方などがいらっしゃいました。事前に、tamaki niimeには「プロはいない」ということは知っていたのですが、工房の方の前職はファッションに関係する仕事が多いだろうと考えていたため、全くファッションと関係ないように思える仕事が前職であるということに驚きました。ですが、この多様性がtamaki niimeの魅力をつくるひとつの要因ではないかと思いました。

 


水谷 恭輔

神戸学院大学

 

【モノづくりの大変さと楽しさ】 

 

2021年8月5日と6日の2日間、兵庫県西脇市を訪問しました。その中でも特に2日目のtamaki niimeでの播州織の体験活動について印象深かったので、今回私自身が体験したことと活動に対する感想を書いていきたいと思います。

8月6日の朝、ホテルをチェックアウトした後バスに乗って目的地のtamaki niimeに向かいました。約10分後目的地の tamaki niimeに到着しバスの中から建物を見ましたが、初めて見た印象として何となくですが面白そうな場所だなと思いました。これは私だけかもしれませんが、何というか仕事場というよりかは秘密基地っぽい雰囲気で出ている..?そういう人の心を揺さぶる建物だなと思いました。建物の中に入り従業員から工房についての説明を聞いた後、実際に製造現場の中を見学しました。この工房は2階建てとなっているため最初に1階の作業現場を見学しました。1階は主に機織り機など様々な機械が設置されているのですが、驚いた点として音の迫力があったことです。多くの機織り機が一斉に音を奏で動く姿に感動しました。その後工房の外に案内されたのですが、何と羊とニワトリが放牧されていました。案内していただいた方の話によると将来的に酪農業もしたいと考えているそうで、実際に年に1回羊の毛を刈り、刈った毛を細い糸にして染色してるとおっしゃっており、工房内で糸の生産・製造・販売全てを実施していることにとても驚きました。1階のフロアを一通り回った後2階に上がります。このフロアも様々な機械があり興味が湧きましたが、その中でも印象に残ったのは1階の機械が動いている様子を真上から見れるということです。稼働している機械を横や上から見る機会はあっても真上から見ることは中々ないので、機織り機がどのように動いているかを直接見ることができて良かったです。

 

工房見学を終えたら、いくつかグループに分かれて播州織体験をすることになりました。まず最初に藍染め体験をおこないました。使った材料は2種類の藍色の液体と複数の塗り具で、これらを使って壁紙に絵や模様などを書きました。染料を塗った作業は初めてだったので、ちゃんと塗れるか心配でしたが思ってたよりも簡単に塗ることができました。この作業は私含めて5人でおこなったため「いい模様だね」「センスいいな」など会話をしながら楽しくすることができました。

 

次に体験したのはミニサイズのニット帽づくりです。ここでは自分の好きな色の糸を3つ選び、それを専用の機械で編み込んだ後ハサミなどを使って形を整えました。自分の選んだ糸が作品に反映されるのはとてもワクワクしましたし、時間もそこまでかからないので子供でも簡単にできるかなと思います。

その後工房で働く方々と一緒にご飯を食べながら、いろいろな話をしました。tamaki niimeの工房に就職した理由や学生時代どういったことを学ばれていたかなど様々なことを聞くことができました。初対面なので話が盛り上がるかなきになっていましたが、気さくに接していただいたき楽しむことができました。

 

お昼ご飯を食べた後は播州織の生地を使ってトートバッグを作りました。ミシンを使って生地を縫っていくのですが、中学校の家庭科の授業以来一度もミシンに触ったことがないため、縫うどころか針に糸を通すのにも時間がかかりました。縫い始める準備が完了して早速ミシンで生地を縫っていきますが、縫い目をまっすぐにしなければいけないところが斜めになってしまったり、指定された線より外側を縫わなければいけない時に内側を縫ったりなど苦労しました。周りの人たちは続々ときれいなトートバッグを完成させる中、私はまだ完成できず、焦って追いつこうとするとミスをするという悪循環に陥っていまい、縫い始めるときにはあった楽しいという感情も時間を追うごとに少なくなっていました。しかしそんな時でも親身になって作品完成を手伝っていただいたスタッフの方々のおかげで徐々にですが楽しく製作活動に取り組むことができ、無事にトートバッグを完成させることができました。

 

最後にこの1泊2日の西脇市での活動を通じて人の温かさと旅行に対する考え方を見直すきっかけになりました。コロナウイルスによって外出の自粛が余儀なくされている現在、旅行会社は家で気軽に旅行してる気分を味わえるオンライン旅行プランを販売しています。しかし今回紹介したプログラムを仮に家でやったとしても、クオリティーという面では現状、外での活動を上回ることは難しいと思います。その理由は対面ならではだからです。確かに今回紹介したトートバッグも家の中で同じように作成して完成したら達成感や充実感は生まれるとは思います。しかし対面でみんなと一緒に作成したからこそ出てきた「悔しい」や「焦り」などといった感情は、その場で人と比較しなければ生まれないもので、フィールドワークを終えた現在でもそれらの感情を今でも覚えています。私はこれこそが旅行の一番魅力である点なのかなと思います。今回の経験を踏まえたうえで旅行行けて楽しかったと終えるのではなく、何を経験しにここへ来たのかやどういうことを学びたいのかなど目的意識を持つ大切さを知りました。

 



山口 美結

神戸女学院大学

 

西脇市フィールドワーク8月5.6日の1泊2日で兵庫県西脇市を訪問しました。1日目は西脇市役所や、播州織工房館、旧来住 家住宅などを訪問し、2日目はtamakiniimeで体験をしました。2日間のフィールドワークを通して、自分が想像していた以上に知識や経験を得ることが出来ました。まず西脇市に到着して思ったのは空気がとても綺麗なこと、地元の方々がとても優しいことでした。どこへ行ってもタクシーの運転手の方も優しく、ここに住めたら最高だろうな…と思いながら2日間を過ごしていました。西脇市役所ではファッション都市構想について、市での取り組みを詳しく教えていただきました。YDHの会議で播州織についての基本知識は入れていたものの、産地消滅危機の現状を知りどのように取り組めばいいのかをとても熱心に考えている事が今回のプレゼンを通して知ることが出来ました。どれだけこうしたいという気持ちがあっても、具体的な対処法や、それを取り組む実行力がないと進まないのだと思いました。また、職員の方々が若者の意見を知りたいと仰っていたことから、色々な角度から見ることで見えてくる解決策をみつけているのだと感じました。

 

私は鹿児島県の田舎出身で西脇市の播州織のように、有名な商品があります。ですがそこで生まれ育った私でさえも説明することは難しく、商品についての知識があるわけでもありません。実際、県外の方にPRしようとしても、なんと言えばいいのか言葉が詰まってしまいます。今回のフィールドワークで地元の観光業と重ねて考える機会が度々あり、現状を突きつけられたような感じがしてこれだ、と思いました。伝統あるものをこれからも長く存在出来るよう具体的な取り組みが必要だと感じました。

 

2日目のtamakiniimeでは、ショールを作ったり、従業員の方と昼ごはんを食べたり、播州織を使って人形を作ったりしました。播州織を間近で見て、経験したことで素晴らしさをより知ることが出来ました。働いている方々の播州織への愛が伝わってきて、聞いていてこちらまで嬉しくなってしまいました。

私は実際にショールを作ったのですが、まずクーラーの無い室内での作業にとても驚きました。皆さん汗水流しながら一生懸命作っているところをみて播州織に込める気持ちをひしひしと感じました。一生に織物を経験することはないと思っていましたが、今回の経験で播州織はもちろん、他織物への意識がガラッと変わったような気がします。

 

あっという間の2日間ではありましたが、西脇市での経験は確実にこれからの私の未来に影響を与える出来事であったと思います。何枚もの写真を撮ったので、なにか悩み事があったり立ち止まることがあったらカメラロールを覗いて刺激を思い出したいと思います。

本来私を含め15人で参加する予定でしたが、コロナウイルスの蔓延により12人でのフィールドワークとなり全員で経験することが出来ず悔しかったですが、12人が経験したこと、学んだことを写真や口頭で伝え、播州織について、西脇市について発信をしたいと思います。

 


網 歩乃佳

国際教養大学

 

8/5~8/6 の2日間、兵庫県西脇市にてフィールドワークを行った。西脇市では、市役所職員の方から市の概要やサステナビリティに関する施策について議論したり、伝統産業である「播州織」の販売や製造に携わる方々の現場へ出向き、お話を伺ったり工場見学・作品の制作体験をさせて頂いたりした。このレポートでは、2日間にわたるこれらの体験を通して得た学びや疑問について記している。

 

<SDGs未来都市とファッション都市構想について>

1日目は西脇市役所にて西脇市次世代創生課の方を含む数名の方から西脇における未来に向けた施策について議論を行った。西脇市は、山や複数の川に囲まれた自然と産業が共存する街であり、北播磨地域の中心都市とされている。自然にまつわる観光が有名でありアジサイや蛍などの季節性のある観光や、キャンプなどのアウトドアでも有名だ。そんな西脇市は昔は播州織産業の地として栄えていた。人手不足や海外の低コスト綿商品との競合もあり、現在は衰退の一途をたどっている。そんな地場産業を、付加価値を上げることで守るために立ち上がったのが「ファッション都市構想」である。このファッション都市構想の目的は、織物を作っている地域で、原材料から最終製品まで作ることである。アパレル産業は分業制が根付いており、従来であれば播州織を業者に卸すことで産業が成り立っていた。しかし、それでは消費者に播州織がいかに普段の綿製品に使われているかが伝わりにくい。だからこそ、播州織産業の地で製品化し、ブランド化することで知名度を上げようという取り組みであった。

 

また、西脇市は兵庫県で明石市に次ぐ2番目にSDGs未来都市に選定された市でもあり、SDGsの17のゴールに基づいて様々な課題やそれに対するアプローチを示している。このSDGs 未来都市における取り組みのお話を通して印象的であったことが2点ある。1点目は市役所は役所の立場として施策において統合性が求められるという点だ。市役所職員の方によると、持続可能性の3つの分野である経済・社会・環境のすべてを統合的に考える必要があるということだった。SDGs となると、日本では環境問題に重きを置かれがちだが経済や社会にも目を向けられるべきだという点に私も共感した。2点目はこの持続可能性の都市構想のターゲットが移住者であった点だ。人口減少や産業の発展の為には人材を確保する必要があり、そのために西脇市を外部の人にとって魅力的な居住地にするという施策はとてもいい事だと感じた。しかしながら既に西脇在住の市民にとっての持続可能な取り組みがあまり優先されていないように感じた。

 

<播州織について>

播州織は、約240年前に京都の西陣から伝わってきた、先染綿織物のことである。昔は布を仕入れていたという話だったが、何本の川が通り、水に恵まれた西脇で糸を染められることから、西脇で織物自体がおられるようになった。あまり知られていないが、私たちが普段目にするシャツやハンカチなどの綿製品の約80%が播州織でできているという事実を西脇に訪れて初めて知った。実際に1日目に播州織工芸館を訪ねた際、身の回りにあるあらゆる製品が工芸館に並んでいるのを目の当たりにした。シャツはもちろん、トップス、スカーフ、バッグ、ジーンズ、ハンカチ、傘まで、数多くの製品が工芸館を彩っていた。工芸館で日常的に目にするような色とりどりの織物製品を見てから、播州織が抱える産業の衰退と知名度の低さという課題が本当に実在するのかとさえ感じた。

 

この感情は2日目にtamaki niime さんを訪問した時にも感じた。地域の伝統産業と聞くと、私はどこか古風な落ち着いた自然な色合いを想像していたのだが、播州織にこの想像は一切当てはまらなかった。一歩tamaki niime さんの店舗に足を踏み入れると、そこにはカラフルでモダンな製品が並んでいた。またtamaki niime の工場はまるで画家のアトリエのようで、様々な色に染められた糸を絵の具のようで、それらをキャンバスに絵を描くように織機に通して織物を作っていく様子が印象的だった。

 

 tamaki niime さんへの訪問を通して学んだことは、播州織の華やかさだけではない。播州織への愛着や持続可能なモノづくりについても学ぶことが出来た。体験ワークショップでは、端切れを材料とした人形づくりやエコバッグづくりを体験した。布を加工するときに必ず出てきてしまう端切れや糸で人形の髪や服を自らでデザインして人形を作った。端切れで人形を作ることで、どこからこれらの端切れがでてきたのか、端切れ布の存在意義について考える機会を得ることができた。また、自分だけのユニークな人形を自らの手で作り上げることで、人形や端切れへの愛着が湧いた。さらにはトートバッグづくりにも取り組んだ。ミシンを使い、織のスタッフの方に一から教えていただきながら、立派なバッグを作ることができた。これらの体験を通して、ワークショップの目的であった「モノづくりがハードルの高いものではないことに気づくこと」「エコとは何なのか」の2つについて考え、自分なりの気づきを得ることができた。

このフィールドワークは、播州織を主軸に西脇市の持続可能性について考えることができる良い機会となった。SDGs未来都市としてどのようにサステナブルな社会を作っていくのか、ファッション都市構想で伝統産業をどのように守ることができるのかということを考えるきっかけになった。さらには、播州織工房館やtamaki niime さんのでのワークショップを通して、モノづくりとサステナビリティの関係性について学ぶとともに、地元の工芸品である「播州織」をより好きになった。ここで感じた西脇や播州織の魅力を、これから多くの人に伝えていきたいと思っている。

 



大西 夏季

兵庫県立大学

 

今までよく知らないけど古くて高そうだなという勝手なイメージで自分とは無縁だと思っていた播州織が、今回の二日間の西脇市フィールドワークを通してグンと身近なものになりました。

 

●播州織

播州織は200年以上の歴史がある北播磨地域の地場産業です。中でも西脇市は先染綿織物の国内生産70%以上のシェアを誇っています。私たちが日常着ているシャツからハイブランドの洋服の裏地に至るまで使用されているそうで、皆んな一度は触れたことがあると思います。しかし、生地の名称・生産地が記載されずに市場に流通してしまうせいで播州織の知名度は低くなってしまっているようです。実際私も播州織についてほとんど知りませんでしたが、これはとても勿体無いことだと感じました。西脇市のファッション都市構想では、デザイナーの育成に重点を置かれていますが、一般の人への播州織や西脇の知名度を上げることも大切だと思います。それを形にしているのがtamaki niime工房ではないかと思いました。

 

●tamaki niime工房

〈見学〉

工房では繊維づくり、デザイン、生産、検品、店頭・オンラインショップでの販売が一貫して行われており、それらの工程を見ることができました。全ての工程を一貫して行うことで、融通が効き、あらゆる場面で無駄を省くことができます。例えば、生産の過程で出た端切れなどをものづくり体験で利用することで有効活用しているとおっしゃっていて、とても良い仕組みだなと思いました。

 

〈ものづくり体験〉

染物体験、エコバッグづくり、人形づくりなどを行いましたが、中でも一番印象に残っているのが"ニット帽作り"です。私は悩みに悩んで青、紫、カラフルな模様が入った白の3種類の糸を選びました。機械にセットすると高速で編み始め、2分ほどで小さなニット帽が出てきました。想像してた色の出方とは違いましたが、自分で選んだものが形になったことが嬉しくて、直ぐに気に入りました。また、前の人が使った3種類の糸で帽子の端が編まれているため、あの時あの場でしか作れないイッテンものが出来上がりました。

 

〈イッテンもの〉

tamaki niimeではイッテンものにこだわっています。ニット帽を作っている間に、"もしこの配色最高だなというパターンを見つけたとしても、二度と作らないのですか"と尋ねました。すると、"似たような色を使うことはあるけど、同じパターンでは絶対作らない。一点ものだから"と返ってきました。さらに、"でも一回しか作れないからこそ、大胆な色の組み合わせにも挑戦できるよ"と仰っていました。これは大量生産を行う他のアパレル企業では真似できない、tamaki niimeの強みだと思います。そして、この考え方は素敵だなと思いました。世の中には流行りがあってみんな似たような服を着ていますが、自分のために作られたこの世に一点だけの特別なものを身につけたらきっと気分も晴れやかになると思います。次の年には着なくなる服ばかりを買うのではなく、本当に気に入ったものを長く使うことがこれからの世の中には必要なのではないかと思いました。

 

●まとめ

お話を聞くだけでなく実際に機械を生で見たり自分で作ったりすることで、播州織のことがより深く知れました。また、ものづくり体験を通して何かを作ることの面白さや楽しさを実感しました。お土産で買ったマスクを身につけて、また西脇市に行きたいです。

 


下園 智音

関西学院大学

 

兵庫県で2番目にSDGs未来都市に指定された西脇市でのフィールドワークでは、行政の計画や仕組みについて知ることができ、また西脇市の魅力、今現在人々が求めていることを体験することができました。

 

<西脇市役所>

西脇市役所の方のお話を伺い、行政ならではの視点で悩みや今後の計画を聞くことができました。西脇市の都市像である、「人輝き 未来広がる田園協奏都市」では地方都市に住む人たちの持続可能性を考えた街づくりで、「次世代」や「地域資源」での教育や地元産業の課題解決のための育成に力を入れている点にとても魅力を感じました。そして何よりも地域の人たちの住みやすさを重視しての計画である「自然との共生」、「安心、安全」は行政であるからこそだと感じました。行政が市の環境、社会、経済の循環を考えての計画を推進していることを知り、もっと自分自身も幅広い分野に興味関心を持ち、知識を得る必要があることを実感しました。

 

<播州織>

播州織の特徴は先染綿織物で、糸を先に染めて生地を織っていくので綺麗なデザインであり、色や意図の太さで製品の顔は様々です。また播州織ならではの生産者のこだわりが見えてくる点もとても魅力的に感じました。そして、意外にも私たちの身近に播州織があったのですが、生産者や工場など加工場が激減し危機に追い込まれていることがわかりました。播州織は生地であるため最終製品にそのブランドが記載されずに知名度が低い点が問題です。

 

今回、訪問させて頂いたtamaki niimeさんの工房では、播州織の生地へのこだわりから働き方まで勉強させてもらいました。工房見学では、生地へのこだわりから消費者への思いを感じることができました。具体的には、コットン栽培や羊を飼って品質の良い生地を追求する播州織への熱い思いを感じました。また、一枚の生地にも少しずつ違っていたり、同じ糸を使用しての生地を折る場合でも間隔や裏糸を別の糸に変えたりと消費者を楽しませるちょっとしたこだわりを教えていただきました。そのため、ここでは何1つ同じ商品はなく、世界にたった1つのものである点にとてもワクワクさせられました。生産する側にとっては効率の悪いことなのかもしれませんが、そのこだわりが商品を手に取った人には嬉しく、その商品を大切にしようといった気持ちが強くなるのではないかと思います。

 

今、私たちが住む世界には、たくさんのもので溢れていて物を大切にしようとする気持ちが薄れているのではないでしょうか。今回、私はバックや端切れを使用した人形の作成を体験させていただきました。スタッフの方に教えていただいてもらう中で、ものづくりの大変さはもちろんのこと、生産者の思いがあることがわかりました。ここでのスタッフの方々は、デザインから縫製、商品撮影や管理など全てのことを自身で行なっています。私がお話を聞いたスタッフの方に、どのように商品を作るのかと聞いたところ、自分の着たいものを形にしていくとのことでした。使用したい生地や糸がないのであれば、素材を一から作ることができるといった点はこの工房ならではだと感じました。

 

そして何よりも、スタッフの方々の表情は笑顔で温かい人たちばかりでした。スタッフの方の中には、この工房に来る前は全く別の職業に関わっていた人たちもおり、その方々の話からもこの働き方に誇りと楽しさが伝わってきました。その点が今回参加した西脇市フィールドワークの中でとても印象的で、私が目標としたい働き方です。

 



吉川 由希

神戸学院大学

 

8/5~8/6に西脇市FWに参加しました。FWの2日間で播州織物について知識を学び、造り手の話を伺い、作る場を見て、実際にものに触れ、織物を使って新たなものを作り出すという体験をしました。この過程で播州織物に対する愛着度が非常に高まり、より身近に感じられるものになりました。技術の高さ、柔らかい肌触りをはじめとする質の高さを体感したことから、10年後職人が現在の1/10になる点に危機感と継承者の必要性を非常に感じました。

 

その中でも特に印象的であった2日目の「tamaki niime」での体験を主に以下に書いていきます。

 

播州織物をデザインし・織り・製品にする一連の流れの中で生じた織物の端切れや糸を捨てずに新たなものを創る、という体験で人形作りを行いました。人形づくりで端切れの中から生地を選ぶときに、様々な播州織の柄や生地と向き合うことができました。選びながら知ることができるという面白い体験ができました。同様に人形の髪の毛を選ぶ際にも、糸それぞれに同じ色がなく、手に取った一塊ずつ色に違いがあることから一点物の糸であることをより体感しました。一日熱中してものづくりをする楽しさを久しぶりに感じました。日頃なかなかじっくりと体験する機会がないので、また機会があれば参加してみたいと思います。

 

niimeさんの工房で働く方々が、個性豊かで非常に生き方が魅力的でした。一見、織物とは全く違う業界から転職をしていても、活かせる場、力があることを学びました。仕事を生活のためにするのではなく、本当にやりたいからしている、その眼差し・生き方に感銘を受けました。就職活動をする上で非常に重要な点を改めて気付かされました。この生き方を本当に大切にしたいと心から思います。

大学生のうちに今しかできない体験を求め挑戦することの大切さを教えてもらったように思います。

 

その場にいたときには気づきませんでしたが、今思うと性別という枠組みを感じさせない職場であったと思います。気づかないほど自然体に枠組みにとらわれず活躍する職場環境が構築されている点で是非世の中の企業の方々にも見て、体感して欲しいと思いました。環境作りの面でも、私自身も深くお話をぜひ伺い学びたいです。女性の働き方や復職に着目して学んでいる私にとって非常に興味深く、研究のヒントがあると感じました。

 

「Tamaki niime」で様々な取り組みを行われている中、SDGsの環境に良いという面だけでなくジェンダーレスという面でも非常に興味深い場でした。

 


白井 茉美

神戸学院大学

 

●はじめに

 今回は「日本のへそ」である西脇市に訪れ、1泊2日のフィールドワークを行った。この2日間、現地に訪れて播州織に生で触れ、デザイナーの方々との交流を経験したことによって、西脇市を代表する地場産業「播州織」の現状を体で学び、多様な考えを得ることができた。

 

●FWで得た気付き

 初日はまず西脇市役所に訪れ、SDGs推進計画やファッション都市構想の会議に参加した。西脇市のSDGsの取組には、SDGsと農村環境創出を組み合わせたプロジェクトや取組予定のSDGsがあることを知り、自身の地元である三木市のSDGsに対する意識との差を実感した。また、西脇市が掲げるSDGsから、その市独自の取組を活かしたその市ならではのSDGsの重要性を理解した。播州織を未来へと続けるためのファッション都市構想では、若い人材の誘致を掲げ、住みたくなるまちを目標としていた。だが市民の地元離れが多く、その解決策は映像制作に力を入れる等の取組のみで、その点があまり重視されていないことに少し疑問を覚えた。

 次に播州織関連施設見学として足を運んだ旧来住家住宅や播州織工房館ではあたたかく迎え入れて下さり、他所の場所から来たことなど関係なく、私たちを受け入れてくれる地元の人々の姿を見て非常に嬉しく思った。また、晩御飯を食べ終えた帰り道のタクシーで運転手の方が西脇市や播州織の歴史について語って下さったことから、他者を受け入れるだけでなく、自分の住む地域の知識を人に話すことができる能力も必要だと理解した。

 

 2日目はtamaki niimeのShop&Labへ訪れ、全身を使って播州織を知り、ふれあう経験を得た。

自然豊かな場所にあるショップに足を踏み入れると、色とりどりの洋服たちが迎えてくれ、ガラス越しには織機の並ぶラボが広がっていた。1日目に学んだ播州織たちがこんな空間で作られていると知り、ワクワクが止まらなかった。そんな心ときめくラボで私たちは、大判ストールやミニサイズのニット帽づくり、染色体験等を行った。ストールづくりでは自分の理想の色を頭に思い描き、様々な糸を抱えながら棚を行ったり来たりとアトリエの暑さを忘れるほど配色選びに熱中した。どんなものが出来上がるのか、予想のできない体験に胸が高鳴り、小学校の家庭科の授業でエプロンを作った時の純粋な楽しさを思い出した。

 体験の中ではものをつくるだけでなく沢山のデザイナーの方々と交流し、一人一人が播州織に多様な想いを持って活動していることを知った。私は絵を描くことが趣味だ。だが、最近は手を抜くことを覚え、同じ色を用いたつまらないものしか描けなくなっていた。そのため、手間よりもおもしろさを優先し、毎回配色を変えてオンリーワンのアイテムをつくるデザイナーの方々の姿に胸を打たれた。道は違えど努力する人々は皆、常におもしろさを追求しているのだと知り、自分の姿勢を改めるきっかけとなった。

 また、玉木新雌さんの「学生という時代を遊び尽くして、楽しんで欲しい。社会人になってからでは出来ないのだから」という言葉は、コロナ禍によって学生という時間を奪われた私たちに非常に刺さる一言であった。その貴重な学生時代に播州織とふれあって得た学びはこのままで留めるのではなく、前に進む一歩として活かしていかなければならないと強く感じた。

 

●おわりに

 床に書かれた言葉、棚に並ぶカラフルな糸たち、織機の働く音。アトリエにあるそのすべてがクリエイティブな空間を創り出し、そこで今も個性豊かな播州織のモノがつくられている。自身が播州織と初めて出会ったのはサービスエリアの売店のコーナーだったが、そこでは収まりきらない程の魅力が播州織には詰まっていることを全身で感じ、学んだ。そして、この自然溢れる西脇市というまちがその播州織をつくりだしている。1泊2日という短い期間の滞在であったが、次はいつ行こうかな、と帰ることを惜しみながらそう思えるまちだった。

 



土岐 厚博

神戸学院大学

 

私は一泊二日の旅で主に、1日目は西脇市役所の会議に出席させて頂き、2日目は播州織の工房を見学させて頂き、実際に播州織のバッグを制作しました。西脇市役所での会議ではSDGs未来都市についてや播州織についてを市役所の職員の方と議論しました。

その市役所の会議では播州織の総論を学び、tamakiさんの工場で各論を学ばせていただきました。この一泊二日というタイムスケジュールで播州織りの総論から各論までを学ぶことができ非常に充実したものとなりました。

 

まず、市役所の会議ではtamakiさんを成功者の一例として提示していました。しかしこのような人材はなかなか現れないとし、播州織の普及には課題もあるということが分かりました。私が一番驚いたことは、市民から「いつまで播州織にこだわっているんだ!」という声をきいた市役所の方がいたということです。市民には播州織の良さなどが伝わっていない結果そのような声として行政に返ってきたのではないかと思いました。私は、播州織にいつまでもこだわっていて良いほど魅力があるものだと感じたため是非とも播州織の推進をしていただきたいと思いました。理由は、旅の2日目に様々な体験を通して播州織にはそれほどの魅力や価値があると思ったためです。バッグやショールなど様々な商品がtamakiさんの工房に陳列されていましたがどれも多くの工程を踏んで出来上がっており、これほど素晴らしい技や工房を失ってはいけないと肌で感じました。

 

次に、市役所の会議でSDGs未来都市についても討論しました。西脇市はSDGs未来都市に選ばれていますが、取り組みは現在道半ばという感じで政策の期間設計にも甘さが残っているのではないかと思いました。そのような状態であってもSDGs未来都市に採択されてしまう日本のSDGsレベルに焦りを感じました。西脇市は他の地域よりはしっかりと取り組んでいると感じましたが、やはり海外に比べて出遅れている感じは否めないと思いました。私はSDGsの「誰1人取り残さない」という原則に西脇市役所の方が気付いているのか気がかりでした。行政が率先して政策を策定することは大切ですが、市民に周知が出来ていない段階ではなかなか政策実行にはたどり着かないのではないかと思いました。市民は完璧に理解していなくとも、SDGsとはどういうものでどういったことを自治体は行っているのかくらいは最低でも認識してもらう必要があるのではないかと思いました。

 

旅の2日目にはtamakiさんの工房を訪ねました。

工房では羊が数頭おり、ウールがどの様にして生産されるのかを勉強するために飼っているとのことでした。人に任せるのではなく自分達でウールから作ろうというこだわりと、工房で全てを完結させたいという想いがひしひしと伝わってきました。

私は、工房で働いている職人さんと話していくなかで、話すのが得意でない人もおり、職人気質な人達がこの工房にいると感じました。しかし、裁縫や播州織のことになるとさっきまでとは人が違うように流暢に様々なことを丁寧に教えてくださりました。自分が担当している仕事に誇りをもっている人達が多い印象でした。職人さんの中には服飾を専門に学んできたという人もいれば前の会社で機械を扱ってきた人もいるなど多様なバックグラウンドをもっているからこそユニークな作品が仕上がるのではないかと考えました。

 

この工房では実際に作品を作ることで播州織に親しみを持ってもらうとともに、ものを作ることの大変さなどを体験できる工夫がなされていました。今の時代はamazonなどで欲しいものがいつでもどこでもすぐに入手できるため、ものを生産している生産者と顔を合わす機会が少なくなりました。そのため、生産者の苦労などが分からず、モノの価値が薄れつつあるのではないかと感じました。そんな中、自分たちが欲しいものを作り、使うことが出来る体験を提供していただけたことは良かったです。この体験のお陰で物の大切さや、作るのにどれほどの手間がかかっているのかを肌で感じることができました。

 

播州織の施設が西脇市内に以前は多く存在していたが現在は数が減っており、tamakiさんの工房で働いているような職人さんが職を失うこととなることに非常に悲しみを覚えました。それと同時にそのような素晴らしい技術をもった人達を応援したいと思い、現時点で私に何かできることは無いか考えた際に工房の商品を購入することに決めました。そこで購入した色鮮やかな折り畳み傘は今後一番大切にするものの1つになると確信しました。それだけ美しく播州織には価値があるものだと思いました。

 


藤田 こころ

大阪成蹊大学

 

●初めに

今回私は1泊2日で西脇市に訪れました。今回のフィールドワークを通じ、西脇市役所の職員の方や観光協会の方から、みんなが暮らしていけるように循環する生活基盤について学びました。また播州織(tamaki niimeのスタッフの方々)からはモノづくりは誰でも出来ることを実感しました。


●西脇市のまちづくりについて

今回貴重なお話を聞いて、西脇市のまちづくりが評価された1つに、ストーリー性がある取り組みだろうと思います。様々な取り組みの内、西脇市の従来の農畜産に新たなアイデアをくっつけることで6次産業化し、次に繋げるという考えに特に惹かれました。例を挙げると、水の保全の取り組みで生き物の生活圏の保護、日本酒に必要な綺麗な水の確保が出来るという、経済、環境、社会の3つのSDG’sの基盤を整えるが可能になったり、牛からたい肥その肥料から野菜作り、更にイネや野菜から出た藁が牛の餌になるというサイクルが出来上がっていることに感心しました。よくSDG’sの取り組みの中に1つのことを1回取りくんだらそのまま放置する施策があるところもあると思います。しかし、西脇市の様な循環できる仕組み作りがあることで、未来に繋げることが出来るため、誰1人取り残されることはないというSDG’sの理念に沿った豊かな人間社会を実現出来るのではないでしょうか。他の地域より経済・社会・環境の3つの統合性を大切にしていることを知り、西脇市の持続可能なまちづくりの取り組みについて学ぶことが出来、まちづくりに対しての考え方が広がったいい機会になりました。

 

●播州織とものづくりについて

今回はtamaki niimeさんの工房で1日播州織に触れ、ものづくりの楽しさを体験しました。今まで、播州織について余り意識して見ていなく、伝統ある織物=渋い色合いのイメージがあったので、工房で保管されていた糸やショップでの商品の鮮やかな色合いを見てイメージが覆るほどの衝撃が走りました。工房では染色から織物の販売の全ての工程を1つの場所で行われており、更には羊や鳥を飼育したり、コットン畑から畑仕事まで行われています。今まで、それぞれの職人や企業がバラバラの工程で行っていたものが、全ての工程を1つの場所で行うことで、生産地が表記されないというトラブルが起きず、正しく播州織のブランドを伝えることが出来る様になりました。これは同じ西脇市の日本酒作りと同じ考え方(テノワールに近い仕組み)だと播州織の生産される流れを聞きながら思いました。また播州織の素材であるコットンも工房で作られており、輸入コットンが占める中、日本で生産されるコットンが今は全世界の0.1%だとしても0.1から1%にさらには2%と徐々に増やしていきたいとの話があり、たとえ小さな数値でも取り組むことで持続的な発展に結び付けることが出来ると感じました。この先、日本で生産されたコットンが世界中の人に触れることが出来る未来に期待したいです。

今回私は、染色体験、端切れで人形作り、トートバッグ作りを体験しました。家では余りものづくりをすることがないので、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。その中でも、物を作ることは瞑想と同じで自分を見つめる作業だと教えて貰いました。確かに、人形作りでは人形に作った人の性格や個性が表れていました。芸術作品を通して自分を見つめ、自分の個性を表せるものづくりの奥深さを味わいました。今回の経験でものづくりに対してのハードルが下がり、誰でも取り組めるものと分かりました。これからもものづくりに挑戦したいです。


●まとめ

今回西脇に訪れて、人の思いや伝統産業に触れること出来て本当に充実したフィールドワークになりました。出会った人がもっと西脇・播州織をより良いものにしていきたい気持ちを持っていました。皆の思いが将来西脇や播州織を今までにない形に発展していくと思います。このフィールドワークに参加して自分のものの捉え方を拡げることが出来たので、今回得た情報や価値観を活かしたいと思います。西脇・播州織の未来がとても楽しみです。