丹波篠山市フィールドワーク

2022.9.13~14


持続可能な社会に必要なバランス

安達 由梨

 

 9月13日から14日にかけて、丹波篠山市を訪れ、フィールドワークを行った。このフィールドワークで最も印象的であったことを一言で表すならば、バランスの良さである。このように考察した経緯を3つのバランスで提示することにする。

 

 1つ目は、静と動のバランスである。例えば、静は郷守の方からのお話や、1日目の夜に行ったディスカッションを指し、動は木の切り出し実演や運搬作業の体験、佐古田さんによる集落丸山の郷歩きなどを指す。学ぶ時は集中してお話を聞き、薪割りや運搬の作業の体験を通して林業の体力的かつ頭脳的な大変さを実感し、集落散策で獣害対策の困難さなどを学ぶことができ、非常にメリハリのきいたプログラムであった。

 

 2つ目は、年齢や性別のバランスである。吉良さんや辻さんなど若い方からSDGsの観点で学び、幼少期から集落丸山に住んでいらっしゃる年長の佐古田さんに案内していただき集落丸山についてより理解を深めた。また、夕食や朝食ではうめたんFUJIの皆さんや地元のお母さん達が丹精込めて作ってくださった地元の食材を使った料理やジビエ料理などを味わった。この2日間で老若男女問わず多くの人とコミュニケーションを取ったため、それぞれの観点から学びを吸収することができた。

 

 3つ目は、継承と発信のバランスである。主に佐古田さんから継承、吉良さんや辻さんのお話から発信のイメージを抱いた。佐古田さんからは、長年住んでいるからこそ分かる集落丸山の変化を伺えたり、一列になってしか歩けない険しい道に入って集落丸山を一望できるところに連れて行ったりしてもいただいた。もしも観光として散策するならば素通りしてしまいそうな場所も丁寧に案内してくれたため集落丸山の魅力も発見でき、獣害対策ネットを張る危険さや集落を維持する難しさやなど環境課題についても学ぶことができた。そして、吉良さんや辻さんからは生物多様性を及ぼす原因や化学肥料のお話などより深く学ぶことができ、持続可能な丹波篠山の需要を高めるために尽力を尽くされていることがひしひしと伝わってきた。

 

 このように、様々な点におけるバランスが良かったため私たちは持続可能な社会について適切に理解を深めることができたのではないか。このフィールドワークを通して、普段だったら関わることのできない人や場所を訪れることができ、日本が持続可能であり続けるために必要なことを学ぶことができた。また、持続可能であり続けるためには、私たち若い世代がサステナビリティ意識を持ち、日本の課題や実態を知り、情報を発信しながら未来の子ども達にサステナビリティ意識を継承していくことが必要であると考える。今回のプログラムではレスポンシブルツーリズムが出来たのではないか。また、改めて感じたことは、普段耳にする情報より現地に行かなければわからないことの方が多く、是非若い世代全員が一度は体験しなければならない経験であると強く思った。しかし、学生は社会人と比較して経済面で不足している部分が多い。このプログラムを単位互換制度で大学の授業として受講できたり、成績優秀者や地域創生に興味のある学生など特定の人が金銭的な援助を受け参加しやすくなる制度があったりすると、より持続可能な社会を追求する人を増やす手助けになるのではないかと考察する。