神戸港フィールドワーク

2023.9.3


神戸と阪神淡路大震災

西野花音/兵庫県立大学

 

●はじめに

私は今回が初めてのフィールドワークだったのだが、神戸で生まれ育った私にとって神戸港周辺は幼い頃から何度も訪れたことのある場所だったため、落ち着いて学ぶことができた。しかし、改めてこの神戸という街を考えながら回っていく中で、1995年の阪神淡路大震災で大きく被害を受け、そこから約28年でここまで復興できたすごい街なんだと感じた。印象的な場所ばかりだったが、その中でも私の知らない神戸を見ることができた、人と未来防災センターについて書いていこうと思う。

 

●人と未来防災センター

 

まず最初に見学した西館の4階には、1.17シアターと呼ばれる大きなスクリーンのある部屋があり、阪神淡路大震災が発生した瞬間の再現を体験した。震災が起こったとき私はまだ生まれておらず、阪神淡路大震災の様子はテレビで流れる映像や教科書などを通してでしか知らなかった。震災の恐ろしさはそのような映像を通してでも十分に感じることはできていたと思う。しかし、今回体験したシアターでの映像は、あたかも自分自身がその状況にいるかのように感じ、テレビで見る映像の何倍も恐ろしく、リアルだった。その中でも私は特に地震発生時の音がとても怖かった。テレビを通して見る震災は視覚的な恐ろしさが強いが、地響きやあらゆるものが割れたり崩れ落ちる音は想像をはるかに超えるものであり、音による恐怖というものを感じることができた。3階に降りると、震災当時の写真や遺留品が数多く展示されており、地震発生直後から街の復興まで、どのような状況を神戸の人々が歩んできたのかがよく分かった。被災した方々のエピソードを閲覧できる展示があったのだが、その中で特に印象に残ったお話は当時の人々の優しさについてのエピソードだった。誰もが辛くて大変な状況下にあったにも関わらず、他の人のために行動する人々の温かさに気付かされたと書かれていた。私は1人でも生きていけるのではないかと昔思っていたことがある。しかしこれを見て、やはり人は人と助け合ってしか生きていけないんだなと改めて感じ、繋がりの大切さが身に染みてわかった。

 

2階には防災に関する様々な資料や展示品があり、施設の方から詳しく解説していただいた。今日本に確実に迫っている南海トラフ地震。この地震の規模や被害の大きさがわかりやすく可視化されており、小さい子でもその恐ろしさが簡単に伝わる工夫がされていた。

今回、人と防災未来センターを見学させていただいた中で、災害の恐ろしさなどのマイナスの側面だけではなく、当時の人々の優しさや助け合いなど、震災におけるプラスの側面についても知ることができ、これまで抱いていた震災へのイメージとは違う新たな一面を学ぶことができた。いつどこで発生するか分からない災害に対して、私たちがどのように備え、どのように向き合っていくべきなのかについて、改めて考える良い機会となった。

 

 

●最後に

 

この都市部を襲った阪神淡路大震災では私たちにたくさんの教訓を残してくれた。例えば、建物の耐震構造がこれまで以上に強いものに見直されるようになったり、避難グッズの見直しや地震速報アプリが開発されたりと地震発生対策が急速に進んでいる。これらの地震に対する新しい技術は亡くなった人たちが身をもって気づかせてくれたものなのではないかと思った。東日本大震災や熊本大震災の影に阪神淡路大震災のことはもう忘れてしまった人もいるかもしれない。神戸の子供達の中にも阪神淡路大震災のことを知らない子が増えてきていルと思う。しかし、日本は間違いなく地震大国。今後、さらに地震が来ると予測されている中、地震の恐ろしさを忘れないためにも阪神淡路大震災の傷跡を体感することは大事なことなのかもしれない。