豊岡市フィールドワーク

2023.11.23~24


コウノトリの復活

瀨田愛乃/神戸大学

 

豊岡市フィールドワークのレポートのテーマは「コウノトリ」、「出石」、「カバンストリート」から選択することができた。私は「コウノトリ」を選択したので、兵庫県立コウノトリの郷公園(兵庫県立コウノトリの郷公園 | 豊岡市観光公式サイト (toyooka-tourism.com))での活動や、それに対する私自身の気づきや感想について、以下にまとめる。私がコウノトリのテーマを選んだ理由は、最も個人的な思い入れが強かったからである。自然の生態系と人間社会が共生する方法を見出したいと考える私にとっては、兵庫県立コウノトリの郷公園でのフィールドワークでは多くの学びを得ることができた。

 

・活動について


まず最初に、兵庫県立コウノトリの郷公園内の施設の一室で、コウノトリの絶滅から野生復帰までの様子を記録した動画を見せてもらった。

豊岡市は1971年に絶滅した日本の野生コウノトリの最後の生息地で、「コウノトリ」は国の特別天然記念物に指定されている。1877年ごろは日本全域でコウノトリを確認できていたが、人間が使い始めた農薬の影響で、コウノトリが弱って死んでいってしまった。この頃からコウノトリ保護活動が始まっていたのにも関わらず、1966年には豊岡市のみでしか確認できなくなってしまった。1971年にとうとう最後の日本の野生コウノトリが死んでしまって、絶滅した。コウノトリを増やそうという豊岡市の取り組みは1965年から試みられたが、農薬に含まれる水銀の影響を受けていたために、ヒナが育たなかった。そこで、1985年に旧ソビエト連邦から日本と同じ種のコウノトリの幼鳥を数羽もらって、飼育してつがいをつくりコウノトリを生み育てて増やしていった。保護増殖に取り組んで24年で初めて飼育コウノトリがうまれるようになった。そのコウノトリたちを2005年に野外に放鳥し、2007年には放鳥したコウノトリが野外繁殖にはじめて成功した。 

その後で市の職員の方から説明を受けながら施設内の展示を見て回った。自分だけだったら見てもよくわからないような、歴史的な資料や豊岡市の地形図も、説明してくださったおかげで理解することができた。

最後にお土産を売っている建物に行ってお土産を見た。そこにはコウノトリ育む農法で作られたお米やその米で作られたお菓子などが売られていた。

 

 

 

 

・気づき


このフィールドワークに参加するまで、絶滅した動物の野生復帰に取り組んで、実際に自然のなかに放すという取り組みがあることを知らなかった。コウノトリの絶滅についてもフィールドワークのちょうど二日前の授業で知るまでは知らなかったので、環境問題に関心があるのにも関わらず、知識がまだまだ足りていないことに気づいた。同時に、このタイミングで豊岡市に来ることができてとても幸運だったと思う。

コウノトリに限らず、世界ではさまざまな生物が絶滅して生物多様性が失われ始めている。生物多様性があることで健全な生態系が保たれていて、私たち人間は生態系によってもたらされる恩恵を受けながら生きていける。生態系には生きるために必要なすべてのものがそろっている自立性をもった環境であるために、それを破壊することは自らを破壊することと同じである。SDGsや持続可能性の考え方が注目され必要とされるこれからの社会では、豊岡市のようにコウノトリの絶滅から共生までを経験した地域がロールモデルのような役割を果たすと考えられる。そのような背景を持つ豊岡市の観光に行くことは、サステナブルツーリズムとして成り立つと思う。

 

 

 

 

・感想


豊岡市がコウノトリの野生復帰のために続けていることや、その過程について知って感動した。地域の持続可能性と産業を両立させるのは難しい課題であるが、豊岡市のように自然と共生する地域づくりを行っている地域の観光産業が活性化することで、地域住民の快適な暮らしが維持されるような観光の在り方に注目しながら、今後のフィールドワークに取り組みたい。

 

・最後に


今回の豊岡フィールドワークが、私にとっては初めてのYDHのフィールドワークであった。最初は緊張していたが、協力してくださった豊岡市の方々やYDHのメンバーのおかげで、充実したフィールドワークを楽しむことができた。

皆さん、ありがとうございました。